アジア各地域に残りながらも
日本からは消え去ってしまった文化が多い中、
芭蕉布は、沖縄・大宜味村の喜如嘉で
守り続けられてきたものづくりです。
バナナ(実芭蕉)の仲間である糸芭蕉から採り出す糸は、
あまりの繊細さゆえに極めて扱いが難しく、
他の染織物にも増して、その工程を長く複雑なものにします。
だからこそ、手数と心をかけて織り上げられた芭蕉布は、
強く、美しい。
糸芭蕉を育てる畑仕事に始まり、原木を剥ぎ、繊維を採り出し、
糸をつくり、撚りをかけ、絣を結び、染め、織り、仕上げまで。
文明の速度とは逆行するような手仕事の数々は、
数百年前とほとんど変わっていません。
人が自然と向かい合い、
植物の力に寄り添って生まれる布。
ブロッコ・デリ・アーキテクツディレクション、
大西広告制作所企画構成・デザインのもと、
喜如嘉の芭蕉布保存会サイトの、
文章を担当させていただきました。

これを見て、喜如嘉を歩く人が増えるとうれしい。
また、喜如嘉で学び、独立された
工房風苧の平山ふさえさん(リーフレット
→)や
染織工房バナナネシアの福島さんらが
展覧会をされる機会にも、芭蕉布に触れてみてほしいです。